あたし

週末にYを語る

土曜日はたいてい何か予定が入ってるから、あたしの「週末」は日曜日だけということになっている。
でも主婦だからさ、いちんち中、こじじみたいに骨の髄まで役立たずでいるわけにはいきませんって、それは。
人として恥ずかしいって、それじゃ。

そういうわけで今日もあたしは洗濯したり、こじじに昼飯食わせたりとするわけだが。 昨日はYとの買い物レポートで、 Yがいかに困った女かをしつこくチクったあたしだけど Yとあたしは仲良しさん。年は10以上離れてるけど仲良しさん。 Yは気難しくて無理難題を吹っかけてくるけど仲良しさん。 Yは自分が更年期過ぎてるからってあたしの「婦人科系の症状」に関する疑問や不安を一蹴するけど仲良しさん。

仲良しさん。

いや、ほんとに。

昨日だって、絶対に一人じゃ持てない量の買い物をして
あたしが4階のYの部屋まで荷物持って上がるのが当たり前のような顔してたけど
じゃあね、と踵を返すあたしに
「これ、あたしが煮たの、くろまめ。」と
タッパに入れた黒豆の煮たのをスタバの袋に入れてくれたYでもある。

「わー、黒豆?お正月に食べるやつ?」と無邪気に尋ねるあたしに
「そうそう、あの、栄○楼が瓶詰めにして5割り増しの値段で売ってるやつ」と、そう、はっきり言ったY。

「栄○楼のみたく、おっきくて、柔らかくて、甘くて美味しいあれ?」と念を押すあたしに
「そうそう、おっきくて柔らかくて甘くて美味しいやつ」と即答したY。

そんなYを信じたあたしが ばかだった。

帰宅して荷物をほどく間をおしんでタッパを開け、

まめ


スプーンいっぱいのマメを口にぽい。

硬い

その上

ちいさい

その上

頭痛がするほど甘い


もしもしYよ Yさんよ
次からは嘘は無しでいこうや。


差し歯が取れたら訴えるからね

縦列駐車

あたしは所謂縦列駐車なる技を己のものにすることなく、免許をもらった。




えっ?




どこの試験場が縦列駐車できない女に免許をくれてやるんだと息巻いてるそこのお人、
お平らに。
八重洲じゃありません。



あ、そ。




そうそう、落ち着いて、落ち着いて。
今、いすの背を離れたあなたの疲れた背中をゆっくりと元の位置に戻して、
そうそう、そんな感じ。
お紅茶、冷めちゃう前にずびずびっと、ね。
あ、小指はいいから、小指は、立てなくて。



いやでもほんとに
あたしは縦列駐車ができないんだ。
だいたいバックで車を動かすのがすごく、すごく、すごくきらい。
其のうち 「すでに免許は持っているけど小技が出来ない人のための教習場」を探して
行ってみたいと思っている。
無理なUターンとか、横柄な追い越しとか、赤信号ぎりぎりで猛ダッシュとか、
そんなのは出来るんだけど。
でも、慎み深いあたしは、謙虚なあたしは
そういう爪は隠してしまう。


日本人ってね、みんなバックで駐車するのよね


と、助手席でつぶやく友人Y。
へぇ、とあたし。
やはりここは「えー、そーなの?なんでぇ?」と聞くのが筋だとは思うが
敢えて神経逆撫で、鈍い振り。

Yはあたしが何か繋ぎを与えてくれるのを待っている様子。
ちら、ちら、とあたしの横顔をぬすみ見てるのがわかる。
でももう一押しするあたし。 鼻腔を微妙に緊張・弛緩させて、鼻歌なんて一節。


なんでか知ってる?


まったくこらえ性のないYはしびれを切らしてあたしに詰め寄る。
運転中に腕をひっぱられるのはドライバーとしては非常に不愉快なのだが
自身が運転しないYには、そこらへんの微妙なとこがちぃーと判らない様子。


んー、わかんない。なんで?


ここくらいまで来ると、あたしはまるで
犬に骨を投げてやるご主人さまの気分。
ほーれ、ほーれ、くれてやる。



日本は狭いからよ。



それが一体なんの説明になってると言うんだ、Y。
自分の左ほっぺたに突き刺さるあたしの厳しい視線を感じこそすれ、
Yはしてやったりと言う表情で前方を見つめる。



勝ったと思うなよ。

パイ


こんなもん食いながら書いてるわけだけど。
あ、これ、出来合いのスィートポテトパイ。作るわけないじゃん。
パイに乗ってる白いかたまりはバニラアイスね。
今朝はバナナ一本しか食べなかったから、お十時。


そうじゃなくて
本題はこっち。

蒸し器1


蒸し器だね、いわゆる。

どこんちでもあるでしょ、これ。
電子レンジで蒸し物が出来ますわよ奥様とか言って売ってる、アレ。
開けるとこうなっててさ

蒸し器2


そうそう、これこれ。便利なのよね。

お宅のとおんなじでしょ?



でも



お宅のはこんなんなってないでしょ?


蒸し器3



ゆうべ洗ってさー、食器乾燥なんたらに置いてさ、寝たわけだ。
今朝起きてみたら、あの、水を入れる一番下の容器に水滴が少々残ってたのよ。
目の前にぶら下がってる布巾でちゃっちゃと拭けば済むことを
あたしはこれをぐわしと掴んでぶんっと一振り。
遠心力を使うってやつ?
そしたら


ぺき



だって。ぺき。取っ手があたしのでこに跳ね返ってそれから飛んでった。


だから、今日あたしが言いたかったのはね、



こわれた



んであって、




こわした




んじゃないってこと。






むだ毛

じつわ




あたしは毛深い。
ちっちゃい頃から割りと毛深い。
恐らくは、南国出身の母から伝わったクマソの血があたしの毛穴を刺激してるんだろうが。


でも母は毛深くない。
隔世遺伝ってことで手を打とう。 パンパン。


毛の話だが


もっと若かった折、己の裸体を人様に晒す機会が割りとようけあった折には
足とか脇とかけっこう気をつけて剃っていた。
大学時代くらいから、「彼なしで一ヶ月以上過ごしたことがない女」だったあたしは
まぁ、その、なんだ、
腕とか足とか脇の下とかを
他人の目にさらす機会にとても恵まれていたわけだ。うん。


そりゃ、剃りにも気合いが入るわね。


一時期、まっさらのフリー状態が・・・そーさなぁ、一ヶ月半くらいかな、あったんだけど
そん時は、もう、足毛も腋毛も元気いっぱい、生えまくってたもんだよ。


その開放感、自由感、ばら色感って言ったら、あなた、堪らんわよ。
毎晩シャワーを浴びる其のたびにほくそ笑んだもんだわよ。



剃らなくていいんだわ



まぁ、その毛剃りフリーな時期は間もなく終わりを告げて、
再び脱毛ワックスだの、毛抜きマシーンだのを引っ張り出したわけだが。
今でもあの毛剃りフリーな頃がなつかしいわね。


もし今後また新たな出会いがあたしに訪れたとしたら
あたしはこの物差しで再びロマンスにどっぷりと身を沈めるかどうか決めるね。




この男のためなら毎日毎晩、

むだ毛のお手入れをしてもいいわって

ほんとにそう思うの?

ワックスって、痛いのよ。






今日はこじじ出勤。
朝7時半には職場に居ないといけないこじじはいつも5時に起きるんだけど。


いや、ちがうぞ。


あたしが起こしてやるんだ。
コーヒーも飲ませてやるんだ。
たかがバナナとクッキーとは言え、朝ごはんも出してやって。


あたしは5時になんて起きる必要全くないんだが

こじじの遅刻をあたしのせいにされては堪らないから、起こしてやる。


結婚する前、あのじじぃはこう言った。




毎朝自分で起きるし


ほぅ、


コーヒーだって自分でいれるし


ふーん


自分の汚れモンくらい自分で洗うし


へいへい


料理だってできるよ


えらいわねぇ






もいっぺん言ってみろ、じじぃ。



早い話が騙されたあたし。
そう、騙される方が悪いんです。


みーんなあたしが悪いんでしょ?
そうなんでしょ?
じゃ、いいわよ、それで。


こじじを追い出してから洗濯を始めたあたし。
たしかゆうべ寝る前にうさぎのぬいぐるみをベッドに持ち込んで遊んでた自分は覚えている。
覚えてはいたが、朝になってシーツをえいやっと剥がした時にはそんな事はすっかり忘れていた。
シーツ、枕カバー、バスルームの使用済みタオル・・・をみんなまとめて抱えて洗濯機に放り込んで
スィッチオン。
今になってみれば
シーツを洗濯機に押し込んだとき、ちりん、と言った。

あたしはシーツのはじっこにぐるりと鈴をつけるような趣味はないから
ちりん、なんて音がするわけないし、だいいち、しちゃいけない音なんだが
聴覚を通して入ってきた情報がおつむにきちんと伝達されて消化されるまで
待てなかった。


止まった洗濯機のふたを開けたら
うさぎのぬいぐるみがこっちを見てた。


ぬいぐるみにはかわいいリボンに鈴をくっつけたのを着けてやってる。
そのリボンが半とけになっていた。





のええええええええええええっ






幸い、頭はちゃんと胴体にくっついたままになってたし
手足ももげたりしてなかったので
せめて乾燥機の中にはネットに入れてから入れてやろうという
やさしいやさしい母心。


乾燥機が止まるのが待ち遠しくもあり
ちょっち恐ろしくもある午前10時10分。


ゴシップチェック

今日も朝9時半の予約でお医者さんへ。
あたしが送り迎えするのが当たり前と思っているらしいこじじを無言で車に押し込んで
松葉杖でバックミラーをげん、とされて角度がすごく歪んだのにしばらく気付かずに居て、
気付いてからこじじを怒鳴りつけて・・・


後ろが見えぬのじゃ、じじぃ!


医者んとこでなかなか出て来ないこじじを小一時間ほど待ってた間、
待合室に置いてあった雑誌をぱらぱら。
来る病人、転がり込むけが人がすべて子持ちの主婦だと思い込んでいるのか
雑誌はぜーんぶその手のもんで、あたしは内心忸怩たる思い。



いや、主婦だけど子供いないあたしは
主婦だけどインテリアデザインを秋向けに一新しようとかぜんぜん考えてないあたしは
主婦だけどかぼちゃを切り刻んで玄関に置くお飾りを作ろうとかぜんぜん考えてないあたしは
主婦だけど今夜のおかずはなんにしようかしらなんてぜんぜん悩んでないあたしは



たいくつ


悔しいから、それぞれの雑誌から恐らくこれを開く子持ち主婦読者が
真っ先に読みたがるだろうページを




びりびりびり。


だって、待合室のどこ見ても
「雑誌はみんなのものです。 汚したり、ページを切り取ったりするのはやめましょう。」
なんて張り紙してなかったもん。



けけ



病院を出て、ちょっと寄り道して郵便局で用事を済ませて、スーパーに寄って適当に買い物してついでに

タブロイド


タブロイド誌をお買い上げ。
やっぱり、あたしも人の子。ゴシップ大好き。
ウィットニーヒューストンがとうとう離婚、とかさ、アメリカンアイドルのクレイエイキンがゲイ説を否定してるとかさ、
そういう下らん事にすごく興味があるのね。

でもやっぱり下らん雑誌だから、買った次の日にはしっかりゴミ箱に叩き込まれてるんだけど。
金の無駄だな、これは。
よし。
次からはレジの順番待ちの間にばばっと立ち流し読みしよう。

けけ

昨日に引き続き、今日も半病人のこじじ。
あたしは日曜だってのに、朝5時にベッドを転がり出てこじじの薬と水を取って来て、寝ているこじじのでこに押し付けた。




飲め




おぅ、とこじじは情けない半起きのうめき声を出して首だけ起こして薬を飲んだ。
ここでも「ありがとう」の「あ」の音もこじじの口からは聞こえない。
明日は洗ってないコップに猫が飲み残した水を入れてやる。





ゆうべ、「明日一日いい子にしてて、あたしにあんまり迷惑かけないでいたら、夕飯はスペアリブ作ってやる」と言ったらそれは嬉しそうに何度も頷いたこじじ。
あたしが一からスペアリブなるものを作ると思い込んでいるらしい。




甘いな





そんなめんどくさいこと、誰がやる。
あたしのスペアリブはこれだ。

手抜き


出来合い。
既にバーベキューソースに浸してある、パックのスペアリブ。
これを半分に切ってオーブンに入れてあとはほったらかし。
びば・あめりか。


そんな事情は露知らず、ベランダで猫と並んで座って曇り空を見上げるこじじ。

騙されてるとわかってしまうから哀しいんであって、知らずに一生終えればそれは、もう、あれだ、「おめでたいひとのはなし」なんちゅう子供向けの本に没後20年くらいしたら載せてもらえるくらい、幸せなお人と言う他ない。





おめでとうございます







殺意がめばえる時

不愉快な朝をなんとか乗り越え、昼ちょっと前、に突入した我が家。
あたしは土曜日恒例の洗濯をさっさと済ましちまおうと、汚れ物を集めて家中を徘徊していた。





おそらくあたしの足音を耳を澄まして聞いていたと思われるこじじが、非常に芝居がかった、従っていやらしい感じのする哀れな声で今日のおねだり第二弾をかまして来た。



ウェンディーズのハンバーガーとフライと
ルートビアーがいいな、お昼は。



なんやと、ワレ



ついでに、ウェンディーズの向かいにあるガソリンスタンドで
スクラッチチケット買って来てね。



張るぞ、キサマ




常々、実家の母に人様に何か頼まれたら嫌な顔をしてはいけませんよと厳しく言われているあたし。
母の教えは絶対であるからして、今回も、腕に抱えた汚れ物をこじじの頭にぶちまけたいのをぐっと堪えて車に飛び乗り、一路ウェンディーズへ。危ないんだ、また、この通りが。車ぶんぶん。


誰がどう見ても交通法違反としか思えないUターンをしてウェンディーズの駐車場に滑り込み、そそくさと昼飯を仕込み、それから再び車の間を刺して向こう側の通りにあるガソリンスタンドに滑り込み、ハンバーガーが冷めたり、フライが伸びたりしちゃいけねぇってんで急いでスクラッチチケットを買って、一路我が家へ。


その間ざっと8分。 ぶっ飛ばしたからね。土曜日だから、サツも見回りしてねぇだろーっちゅうんで。




さすがのこじじも「もう帰って来たの?」とありがとうの前にオドロキを表した。



今気がついたが、きゃつの口からは、ありがとうの「あ」の字も出なかった。



どうしてくれよう。


臍を噛む

ほぞをかむ、と読みます、タイトル。

ほぞ、ってこんな字だったのねぇ、と今更ながら、うめきながら、漢字文化の脅威に打たれるあたし。

こんな字、紙に書けって言われたら、こまる。何画あるんだ、いったい。そんで、音読みしたらどうなるんだ。そんで、一体どういう意味なんだ。どの辞書を引けばいいのかもわからない。あ、国語辞典か。読み仮名しか知らないんだから。ひらがな索引でちゃっちゃと引けばいいんだな。よし。あとでやろう。あくまで、あ・と・で。

臍はどうでも。


おまえのような恩知らずに食わせる夕飯はない!と、こじじの背中に向かって威勢良く啖呵を切った割りに、定刻にはそそくさと台所に立って病人のおなかにもやさしいようにホームメイドなチキンスープをこさえたあたし。
この不甲斐のなさを見抜いているに違いない。こじじ。そう思うと尚更むかつく。



でもスープは美味しく出来たから、いいとしよう。きちんと骨付き肉を使って、中火でことこと・・・三昼夜もそうしてたらフォンドボーが出来てしまうから、そこはまぁまぁ、と言うことで。



問題は一夜明けた今朝。

昨夜寝る前に「明日朝ね、5時に抗生物質飲まないといけないんだよね」とぶつぶつ言い出したこじじに、あぁ、そりゃ災難なこったねぇといい加減な返事をしていたら、「起こしてね」とほざいた。歩くのも一苦労な状態のこじじに哀れを感じて、はいはいと返事をして、そしてあたしらは就寝。



一日の最後の会話って言うのは案外と頭にこびりつくもので、5時を知らせるアラームが鳴る前にすでに目を覚ましてこじじの背中をどつき、「おぅ、薬飲むんだろうが」とすごんだあたし。

そうしたら



ん、薬と水持って来て



なんだてめ、薬を飲むってのは、そういうことかよ。
薬を飲む本人はベッドにのうのうと横たわったままで、あたしがわざわざ台所まで行ってコップに水くんで、そんで薬を添えてベッドルームに持って来て、それをはいどうもと受け取って飲む、って、そういうことか?




飲むだけ飲んだらさっさと寝るし



返す返すもむかつく野郎だ。
そんな野郎と結婚したあたし自身にもっとむかついた土曜の早朝である。



こじじ、足が腫れる

先週、アリの巣に足を突っ込んで恐らく其のときに怒り狂ったアリ達の総攻撃を受けたに違いないのだが全く気付かず、その後も噴水の掃除などしてしまった、市営の植物公園の施設技師のこじじ。
おとなしくサボテンの世話とか、世界にこれ一本、な珍種のランの世話とかしてればいいのに、噴水の水が淀んでいる事が許せず、自分で小汚い水の中にだぼだぼと入って行って掃除をしたのだそう。「噴水の中にも花植わってるからさ、かわいそうじゃん」だと。そんなに花がかわいいか。うちの花じゃないんだっつうの。よそんちの花かわいがってどうするんだ。



結果、アリの噛み傷からとんでもないバイキンがこじじ体内に侵入したらしく、こじじの右足、足首、ふくらはぎの下三分の一くらいまでなんとなく「ぱつぱつ」になってしまった。痛い痛いと訴えるので昨日病院に連れて行って、抗生物質やら腫れを抑える薬やら山のようにもらって来て、今朝また病院に連れて行って診てもらって・・・。月曜日にもう一度おなじことを繰り返す。



うちはいわゆる「大都市」のそのまたど真ん中なので、便利と言えば便利だが、どんな時間に外に出ても車がいっぱいで、朝の7時でもラッシュ状態。そこをだな、半病人みたいなこじじを助手席に乗せて走り回るわけだ。病院が済んだ後も、あっちに行きたいのこっちに行きたいのと駄々をこねるこじじ。あたしは舌打ちしながらもへいへいと運転手をしてやった。



あたしが病気になったり怪我したりしたら、どうするんだろう。

あたしがやるようにせっせと甘やかしてくれるんだろうか、こじじは。

試しに聞いてみたら聞こえないフリをしやがった。

夕飯は抜き。


異人の父

兄の体調が思わしくない、と言う報せを受け、泡食って車で7時間かかる両親の家に強行里帰りしたこじじ。
地理的説明を先にすべきであったな。
こじじはあたしとアメリカ南部に住んで居て、こじじ両親と、数だけはやたらある兄弟、姉妹のほぼ8割は中西部に住んでいる。

そういうわけで、何かがあった時や、ホリディが来ちゃった時は、あたしたちは車に乗って6〜7時間かけて、ちゃぐちゃぐと中西部に向かう。

今回はあたしはお留守番。行きたくなかったというのが理由。何がかなしゅうて義父母、義兄、義姉、義弟、義妹、義従兄弟、義従姉妹、その他もろもろの義ナントカにこの面さらさにゃいかんのじゃ。

こじじは非常に家族思いである。兄が病気とあらばそりゃあ泡も食うだろうて。行きましたよ、ちゃぐちゃぐと。

以下は必要以上に疲れた様子で帰宅したこじじの口から米粒のようにぼそぼそと漏れてきた強行里帰りのレポートである。



おやじんとこに着いたらさ

ふんふん

おやじ、いきなり伸びるはしご持って来てさ

ほう

壁にたてかけるんだよ

ほう?壁塗ってくれってか?

屋根の修理したから見てみろって

いや、それは半年くらい前の話じゃないか?

『オレがやったんだぞ』ってさ

それも聞いたぞ

見せるんだよ、俺に。屋根の上に俺のっけてさ。

あぶないじゃないか

あぶねぇよ、みしみし言うんだぜ、トタンが

トタンって、違法じゃないの?

いや、そんなことはないけど。

ほぅ

そんでさ、屋根が済んだらさ、バラだよ。

バラ?

『オレが植えたバラ見てみろ』ってさ

バラ?

きれいだろうって、花なんかどこにもねぇんだよ

心の目で見てみろと?

害虫駆除にさ、漂白剤かけまくったんだってよ

おぉ

俺が『おやじ、バラなんかどこにもないよ』って言ったらさ

ふんふん

おやじ、もう家の中入っちゃっててさ、手招きすんだよ、
台所の窓から顔出して

足、速いじゃん

なんだよこいつと思ってさ、家の中入ったらさ

うんうん

家中、おやじの小さな顔写真で埋まってんだよ

(このあたりでいらん想像してそれを膨らませてとんでもない状況を頭ん中でつくりあげて笑い死に始めるあたし)

妹がマグネット写真入れ一箱 教会のくじ引きで当ててさ

うげげげげげ

それ全部おやじにやっちゃってさ、
おやじそれ全部使いやんの。
全部自分の顔写真。

もう、いい、ほんと、いいってば

そんでさ

やめれって

トイレに入ったらさ

や〜め〜れ〜

トイレの蓋の裏側に

ごぼごぼごぼ

貼ってあんだよ、ガムテープで

でろでろでろ

それでさ・・・おやじがさ・・・あのさ・・・




この後も「ほんとにあった怖い話・こじじの実家編」は続いたのだがあたしは頭ん中退場してたからよく聞こえなかった。
そういうわけで、病に倒れた兄の見舞いに行ったはずなのに父の顔写真をさんざん拝まされ、ついでに5つほど土産にそれを握らされたこじじ。先回りして磁石がひっつく素材の物を隠し、ガムテープを隠し、トイレの蓋の裏に「貼り写真禁止」の貼り紙をするあたし。これだけ気をつけたのに、今朝起きたらあたしのマグカップの底で異人の父が笑っていた。


はっきりしない

朝起きて、さて、今日のあたしの機嫌はどうかしらと内面を見つめる儀式を一通り行ってみたら、実はあまり健やかではない自分に気付いて、それだけでもう、生きる気力が失せたあたし。

微熱、にも満たない、ほんとに微妙な熱っぽさ。恐らく体温計には現れないだろう、この微妙な昨日と今日との体温の違いが今朝のあたしを怠け者にする。
やるべき事をリストアップして果たしてこのうち幾つを明日に回せるかと、鉛筆をなめなめ考えたら・・・
どれも今日、今すぐやんなきゃだめ!ということで。

まずは洗濯だな。うん。あとは適当に。

それにしても、あたしは小さい頃はきちんと病気になったもんだが、最近はなんだかわかんない状態で滞ることが多い。
子供の頃は、小児喘息を患っていたせいもあって、一晩中咳き込んだり、あと、食べたもの、全部アゲちゃったり平気でしたもんだが、最近は熱もきちんと出ない。この、なんとなく病気っぽいんだけど、な腰砕けな状態が実は一番厄介である。

なんにしても、滞る、というのはよろしくない。


頭皮が訴える

ちかちか、と言うか、ちきちき、と言うかそんな不快な感覚が頭皮を走ったら、
それは白髪がほぼ2ミリほど生えてきたサイン。
あたしの頭皮は白髪が生えてくると教えてくれる。頼もしいこと限りなし。



太くて硬くて真っ黒な髪がたーくさん生えてるあたしの頭皮は恐らくお疲れ気味なことだろうと思う。
自分が頭皮だったらと思ったことはございませんか?
朝起きたら、自分が自分の頭皮になってたとか、そんなことがあったらどうしようとか、
いろいろ考えて怖くなっちゃったこと、ございませんか?


ありませんよ、あたしは。


白髪だが

所謂若白髪、というやつで、若いというよりほとんど小さい頃から白髪があった。
小さい頃は髪を長くしていたので母に毎朝三つ編みにしてもらっていたのだが、髪を分けるために櫛で私の頭皮に線を引いていた母が「あら、白髪」とつぶやいてツン、と抜いていたのを覚えている。

最近はこじじに抜いてもらうのだが、こいつは「どうせたくさん生えてんだからいいだろう」と思ってるのが手に取るように判るいい加減さで、白髪の周りに生えてる黒い毛も2−3本一緒に抜いている。「多少の犠牲はあったにしてもほれ、この通り白髪は取れたんだから、いいではないか」というような、いちいち名前を考えるのも馬鹿らしいようなヘンな主義を唱えて、バスルームに毛抜きを戻しに行くこじじ。

覚えておれ。貴様が寝ている隙に眉毛を剃ってやる。



負けた気がして

あたしだって、主婦。はしくれ、にもひっかかんない程度の、ほんとに形だけですけど、主婦。だから買い物に行って、買い忘れと言うボケを犯した日の夕暮れにはそれはもう、哀しくなる。負けた気がして、さらに哀しくなる。

今日、買い忘れたのはインスタントラーメン。アメリカでも売ってます、えぇ、もう、みなさんご存知ですよね、そんなこと。
売ってますけどね、日本のみたいに美味しくないし、変な味のバラエティーばっかでね、一週間も食ってると、次の一週間は見たくもないという代物。でも美味しいの見つけて、よし、これならメモしなくても絶対忘れないわね、とタカを括って出かけたわけだ。
実はあたしはラー中。一日三回、一週間ぶっ続け、計21食ラーメンでもぜんぜん変わらぬ真摯な愛情をインスタントラーメンに注いで育ったラー中。

行列が出来る店とか、そう言った感じの所謂「支那そば」はだめなのよ。ぱしゃぱしゃ言うビニールの袋に、油で揚げたちぢれ麺とアルミの小さな袋に粉スープが入って売ってる、あのインスタントラーメンでないと、あたしの胃袋はしあわせになれないの。

言っときますけどね、
その人が好んで食す食べ物の値段と
その人の人格とか、人としての価値とかは
全く関係ないとあたしは思います。

あなたもそう思うでしょ?
違うの?
違うの?!
じゃあ、あなたは人の価値をその人の好物の値段で計るのね?!

歪んでるわよ、あなたの価値観。

違うって、そんな議論ふっかけたくて書き始めたんじゃないって。
だからね、忘れたのよ、ラーメン。そりゃ悔しいさ。手元にハンカチがあったら、はじっこちょっと噛んだりしちゃうね。

今日はこじじが居ないんでさ、好き放題やってやれと思って、普通、「食事」とは見なされない物ばっかり買い込んでね、人の道にはずれる食生活をしてやろうと意気込んでね、帰ってきたのよ。とりあえず今日の夕飯はビスコッティとプリン。

だけどね、人間、常に「あしたのこと」を考えて生きてかないと、なんか、手探りな生活って、こわいじゃない。
だから明日の食事のことを考えてね、ラーメン買い込んでおこうと思ってたのよ、思ってたのに、忘れたのよ。

あぁ、哀しい。
どうしてくれよう・・・



ぜったい、そうだって、あれはガーディアンエンジェルだって。
見ちゃったのよ、助けられちゃったのよ、今日。

今日は恒例の「週一食料品買出し」を遂行したんだけど、其のときの話。

いつも行くのは何かいろんなお店がごろごろと入ってるいわゆるプラザと呼ばれる場所なんだけど、そこで今日はスーパーで買い物した後、ドラッグストアにちょっと用があったんで敷地のそっち側に車動かしてね、ドラッグストアで用足して、出てきたわけだ。車に乗り込んで、後方をしつこく確認してから後ろに下がって、方向転換して駐車場を出るという方向に動き始めた其のとき!

後方の左右をしつこく確認していた時には絶対、絶対そこに居なかったおじいちゃんが突然現れて、あたしにではなく、あたしの車の真後ろに突然バックで駐車スポットから出て来ようとしていた(らしい)車に向かってすごい勢いで腕をぶんぶん振り回してその車を止めたのが見えたのね。びっくりしたわよ。おじいちゃんの必死な視線をたどるまで、そこに車があるのも見えなかったんだから。また、悪いことにその車がいわゆるSUVでね、でかいでしょ?あたしのみたいなちんちくりんの車なんて、たぶん見えなかったんだと思う。てことはそのおじいちゃんがドライバーを止めてくれてなかったら、そのでかい頑丈なSUVがあたしのちんちくりんモービルにぶつかってすんごい立派なへこみ作るまで、その人はたぶんあたしがそこに居るの、わかんなかったと思う。

ぞっとしたわよ。ほんとに。

あたしはそのおじいちゃんに必死に手を振ってサンキューって何度もおっきく口を動かしてあたしがサンキューって言ってるのわかってもらおうとして、それで、ほんの一瞬ね、さっきのSUVがちゃんと止まってくれてんのを確かめるためにおじいちゃんから目逸らして、そんでまたおじいちゃんが居ると思った方向を見たら・・・






居なかったのよ、おじいちゃん




ぴんと来たね。あのおじいちゃんはガーディアンエンジェルだったんだって。
あたしはもう、興奮しちゃって。
家に戻って、買ってきたものを片付けながらおじいちゃんの事考えたら、涙がにじむほどありがたくて、あたしはぐっとなったね。



牧師の息子のこじじにその事言ったさ、もちろん。感動をわかちあおうと思って。
そしたらあの野郎




ふーん




だって。

てめぇ、それでも牧師の息子か!
お前の父親は泣いているぞ!
こんな息子を育てた覚えはないと!
恥を知れ!
こうしてくれる! 


びちびちびちびちびちびちっ!



いいんだ、あたしだけ、天使に守ってもらうから。
あとで吠え面かくなよ、似非キリシタン。


わかんないってば、そんな高尚なこと言われたって。
あたしはこれまでまぁ、「頭のいい人」ステータスを保持して来たんだけど、で、大抵の事は自分で調べて、考えて、練習が必要な事ならば練習して、なんとかこなして来たんだけど・・・




リンクとか


トラックバックとか


直リンクは禁止ですとか


相互リンクとか


ぜんぜんわかんないっつうの。

認めます、えぇ、段ボールの箱のふた引っ剥がしてその裏にでかでかと書いて実家の表札の横に張っておきます:



ここんちの娘は

リンクとかトラックバックとか

そう言ったブログな小技機能障害者です。



悪かったわね、ふん。
いいのよ、そんな事知らなくたって、人として恥ずかしくない程度の知的活動は出来るのよ。

でもやっぱりくやしい。
この悔しさを煽るのが、勇気をふりしぼり、恥をしのんで質問メールを送らせていただいた某ブログのスキンデザインを手がけてらっしゃるウェブデザイナー様のそりゃあ冷たいお返事。 返事なぞもらわん方が良かったとメールを読みながら唇をかんだね。きっと「ウェブの知識もないのにブログやろうなんて、ましてや、某大手ブログにオリジナルスキンを提供している大手なデザイナーのあたしが作ったスキンをカスタマイズしたいだなんて、100年早いんだよ」なんて苦々しいお顔でメンソールのスリムシガレットを唇の横っちょにくわえて一気に書いたに違いない、あの冷たくも乱暴なお返事。

あたしはただ、記事を左寄せにしたいんですけど、どうすればいいんですか?



って、恐る恐る聞いただけなのに。そんでこの大手なデザイナーが言ったようにやったら結局出来なくて、その某大手ブログ本部にある利用者同士が助け合うページで尋ねたらぜんぜん違うアドバイスもらって、それでやってみたら一発で出来たりして。
そこんとこ、どうよ、え?


あぁ、もうどうでもいー。くだらな。

何かを知らない、出来ない、わかんない、状態にしておくのが非常に嫌いなあたし。きっと今日一日グーグルさんをわずらわすんだろうな。あっちこっちにメール出すんだろうな。
冷たいお返事メールだって、へっちゃらです。意地悪言われたってだいじょうぶです。でも出来れば余計な棘は「続きを読む」にそっと隠してお返事ください。お待ちしてます。



臭いのもと

書かずには居られないことがあったので。

あれは確か夏の初めの頃。家中になんとも言えない臭いがするのに気づいた。こう、空中に漂うような、軽い臭いではなく、すでにカーペットにしみ付いていて、それがでろでろと空中に発散されてるような臭い。
何かが汚れてたり、きちんとしてないのが苦手なあたしには大問題。


悶々と悩み、試行錯誤を繰り返し、自問自答に夜も眠れず苦しんだ臭い地獄。それがついに終わりましたちゅう話。わかった。なんの臭いがするのか。




すいかの皮の臭い




わかったからってすっきり、さっぱり、はっぴーちゃん、と言うわけにもいかないのが臭いの問題。
誓って言うが、うちのどこにもスイカの皮なんぞ落ちていない。だいたい今年の夏は皮のついたスイカなぞ買わなかった。ではなぜスイカの皮の臭いがするのや?

スイカの皮のような臭いを発する「なんかくさいもの」がその辺にひっそりと落ちているのだろうか。台所の流しの下を見ても水がたれた形跡などないし、うちのバスルームにも水漏れはない。生ゴミはちゃんと捨ててるし、ランドリールームの換気にもとても注意を払ってる・・・では臭いのもとは一体・・・



亭主の履き物




ぜったい、これだ。これに違いない。あのすえた様な、なんとも不快な臭い。毛穴からじわじわと忍び込み、嗅覚をつかさどる脳みそのあの部分をじわじわと蝕むような、あの臭い、一度接触したら最後、ハイターに一晩つけても絶対取れないあの臭い。亭主の履き物の中敷きでなくて、なんだと言うのだ。

今日、奴が帰宅するのを待って尋問しようと思う。奴の履き物を指でつまみあげて、奴の鼻先にぶらさげて



おまえだ





あぁ、わくわくする。




差し歯の強度

どんなもんなんでしょうね。差し歯ってのは。「パーマネントセメントでくっつけるから、大丈夫、取れないわよ」と言ぅた舌の根も乾かん内に「ガムとかキャラメルはだめよ。歯が取れたり欠けたりするから」って、なんなんだ、おい。あぁ、お前だ、歯医者。はっきりせぇ。

問題も起きんうちに逃げを打つその卑屈な態度のこの歯医者の口から出た腰砕けなこの台詞にあたしは考え込んだね。帰りの車の中で。

椅子を降りる前に「じゃあ、食べていいものと悪いもののリスト、ください」と明らかに怒りと不信と侮蔑を押し隠した目つきで訴えるべきだったのか。後からならなんとでも言えるわな。ちゃんと聞かなかったあたしが悪い、と、たぶんそう言うことになるんだろうな、次に歯が欠けたら。


一夜明けて、今朝。朝ごはん何にしようかなと、こじじにバナナとビスケットの朝ごはんを食べさせながら考えた。




きなこもち



きーまりっと

差し歯が落ちるのを心配しながら、高いひっつき度で世界的に知られる餅を食らうという行為の是非を問う暇もあらばこそ、あたしはがつがつときなこ餅を食した・・・のがほぼ一時間前。今のところ入れたばっかりのおニューの差し歯は無事。


結論: きなこ餅は差し歯に優しい





憤怒

朝9時の予約で歯医者に行って、上前歯の差し歯を入れ替えてもらって、買い物して帰って来て、ゴミ出して、風呂掃除して、洗濯して・・・と、とても地味、かつ意味もなく忙しい一日。いや、どうも、頭を使わない仕事だけして忙しい時は無駄に忙しいと解釈する悪い癖がありましてね。あたし。


いいんだよ、そんなことは。


バスルームの掃除をやったわけだ。
タイルの壁とバスタブの境に黒いカビがみっちり生えて来たんで。カビの根を殺すって言う宣伝文句を高らかに歌い上げてる洗剤を黒い線に沿ってしゅっしゅして、30分ほっておいて、戻ってはだかになってバスタブの真ん中に立って、今度はバスルーム全体用の洗剤できちきちと壁からバスタブから磨き上げましたよ。般若のように。きっと三船敏郎クラスの気迫に満ちた顔をしていたに違いないとあたしは踏んでるね。

きれいになりましたよ。えぇ。

そう思ったんだけど 違った。

カビの根殺しには漂白剤が入っててね、で、それがバスタブの中にたれて来た時に伝った部分だけが目にささるように白くなってて、カビの根殺しが流れなかった場所は元のアイボリー色のままでね、余計汚く見えるのよ。 怒るわよ、そりゃ。

服をかなぐり捨てて、漂白剤入りの磨き粉(カネヨンみたいなやつ)の缶を握り締め、再びバスタブに飛び込んだあたし。気合いの度合いだけで行けば、そうね、吉宗の「成敗!」ぐらいのもんだわね。 また一からやり直しよ、早い話が。漂白剤入ってるって、ちゃんと書いてあるのにゴム手袋もしないで、素手でブラシ握ってがっしがっしと磨きましたよ。 磨き粉ってね、あれなのね、一度流しただけじゃダメなのね。一時間くらいして戻って見ると、バスタブの底がなんかざらつくのね。ま、汚れは落ちたからいいけど。 それにしたって、これは憤怒ものだわよ。あぁ、腹立った。
いらっしゃいませ
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